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2008年5月24日

悪霊と闘うーエホバの証人内部に見られる「悪霊信仰」の分析 ③

では本論にもどり、エホバの証人内部に存在するこうした「悪霊現象」の正体はいったい何なのかという点を考えてみましょう。特に、「悪霊を見た」・「悪霊を感じる」と確信をもって述べる人の存在や、数多の「悪霊バナシ」の原因は何なのかという点に主眼をおいて考えていきたいと思います。

エホバの証人信者であるか否かに関わらず、こうした「霊の存在」を確信する人は世の中に多いわけですが、どせいさん個人についていいますと、こうした「霊の存在」というものは全く信じていません。「いや、それでも霊はいるんです」とおっしゃる方が多いのは承知しており、そういうご意見は尊重すべきだとも思いますし、そうした人たちに「霊なんていないんだ」と説得する気もこれまた全く無いわけですが、逆に、そうしたサイドから何を言われても個人的には「悪霊なんているわけない」と完全に思っていますし、また、そう考えるのが一般社会においてまともな発想であると自分勝手に確信してもいます。

さてそこで、例によって、どせいさんのように「悪霊の存在を全く信じない」という発想をもつ人間が、エホバの証人内の「悪霊現象」について聞かされたときに、その現象をどうとらえるのかという点についてこれからいろいろ述べさせていただきたいと考えています。これがこのサイトのスタンスということになります。そして、端的な結論を先に述べると、こうした「悪霊現象」の原因には2つのものがあると考えています。ひとつは『精神疾患』であり、もうひとつは『流言』です。

このうち、『流言』という側面については、すでに「うわさ話」についての考察の中で「鳥山明やピンクレディなどの有名人が悪霊の影響を受けていた」というJW内部での根拠の無いうわさ話を素材として、いくつかの考察を述べさせていただいています。要するに、エホバの証人組織内部には、世の中の出来事全体に対する懐疑心や「自分たちだけは特別」との強い選民意識が存在すると同時に、物事を無批判に受け止めたり事実かどうかを的確に判断する能力に欠けるという傾向が見られるため、何らかの特殊な出来事がおこると短絡的に「これは悪霊のしわざだ」という一方的な解釈・理解がなされ、これが「悪霊についてのうわさ話」として、尾ひれをつけられながらまことしやかに語り継がれてゆく、という構図がみられるということです。さらに、こうした噂話が伝播され拡大再生産されてゆく際に、その媒体となるネットワークも構築されている点についても指摘しました。

したがって、今回のシリーズの①で紹介したような、派手な「悪霊バナシ」のほとんどは「単なる流言」、すなわち真っ赤なうそであり、こうした話の出所をたどってゆくと結局は事実無根であることが証明されるような類のものであるといえるのではないかと思います。ただ、この点についての社会学的知見に基づいた考察はすでに「バカ話・うわさ話野郎」のなかで扱っていますので、今回は後回しにし、もうひとつの「精神疾患」という側面について、まず考えたいと思います。
(もしまだ「バカ話・うわさ話野郎」をお読みでない方がおられれば、一度ご覧いただくことをお勧めします。(特に③以降をお勧めします)。)

「悪霊現象の正体」としての「精神疾患という側面」とは、要するに、「悪霊を見た」「悪霊を感じた」と確信を持って発言する人というのは、統合失調症をはじめとした精神疾患に罹患している人、ないしはそうした疾患に罹患している人に接した人であるに過ぎないであろう、ということです。エホバの証人信者には思い込みが激しく、自分たちの宗教教理に都合のよい形で物事を理解し、それに疑いの余地を挟まないばかりか、他の人にもその理解を要求し、確信を持って語るというタイプの人がとても多いように思われます。他方で、エホバの証人信者は教育の価値を否定されており、医学的知見や社会学的知見を「世の知恵」と称して注意深く避ける傾向も根深く存在しています。(長老たちの中には悲劇的なほどに愚かで、かつ、自らの一方的で主観的な判断を確信をもって人に押し付けるタイプの人間がいる、ということには誰しもが同意するのではないでしょうか。)

こうした望ましくない下地が一般的に存在する中にあって、特定の精神疾患に見られる典型的な症例が起こると、短絡的に「悪霊現象である」と決め付け、エホバの証人教理と都合のよい形で結びつけた上で、確信を伴って他の人に伝えられてゆく、という現象こそが「悪霊現象」の本当の正体なのではないかと考えるわけです。また、統合失調症のような明確な精神疾患が関わらないケースであっても、集団妄想や集団ヒステリーと呼ばれる現象や個人の強い暗示が、日ごろのエホバの証人教育や「悪霊の存在」を当然の前提とする周囲の雰囲気とあいまって、「悪霊の存在を確信する経験」を引き起こしていることも多々あるように思われます。これらは、純粋な精神疾患とは異なるものではありますが、いずれにせよ精神医学や社会心理学の観点から明快な説明がなされうるという点では同様のものであり、便宜上、広い意味での「精神疾患」と同じ部類に属するものとして考察するのが適当であると考えています。

では、こうした「広い意味での精神疾患が悪霊現象として受け入れられている」という構図についてより具体的に理解するために、医学や社会学・文化人類学の見地からは心霊現象や妖怪などの存在についてどのように説明されるのかという点をこれから少し概観し、その理性的な理解と、エホバの証人内部での「悪霊現象」を要所要所で結びつけるという形で、考察を進めていってみたいと思います。