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2006年3月31日

エホバの証人問題を整理する-10

(ウ).ちなみに、この元統治体の兄弟の書いた手記というのは、Crisis of Conscience(by Raymondo Franz)という題で1983年に出版されたみたいでして、日本語版も、良心の危機 「エホバの証人」組織中枢での葛藤、という題で(レイモンド・フランズ著 樋口久訳)「せせらぎ出版」というところから出版されています。

では、その中で、1914年という年号に対する『統治体』の認識がどのようなものとして示されているかという点なんですが。

まず、フランズ氏は「聖書に対する洞察」の前身となった「聖書理解の助け」という書籍の執筆の準備を(ライマン・スウィングルらと一緒に)行った際に、例の「『七つの時』が紀元前607年に始まり西暦1914年に終わる2520年の期間である」というものみの塔の教えのうち、ネブカドネザルがエルサレムを破壊した時であるとされる紀元前607年という数字がものみの塔協会の出版物にしか存在しないことに気づいたそうなんですね。何万という数の、古代バビロンまでさかのぼる粘土板のくさび形文字の記録が、全て一致して、紀元前607年よりも20年ずれた年を示していたと。

フランズ氏はものみの塔協会の世界本部スタッフと一緒に古代くさび形文字の専門家で、ロードアイランド州のブラウン大のアブラハム・ザックス教授のとこまでいってこの点を確認したものの、結局紀元前607年という年号には歴史的に何の証拠も根拠もないということが判明したそうです。

結局その時は、これらの厳然たる歴史資料の信憑性を何とか弱めようとする内容を長々と執筆してこの本を完成させたそうなんですが、その後1977年に、今度はカール・ウーローフ・ジョンソンという、別のスウェーデン人の長老が、これとは別に、この年代計算についての独自の大規模な調査結果をものみの塔協会の世界本部に送ってきたそうです。その中でもやはり、この1914年という年代算出の根拠が極めて弱いことが書かれていたそうです。

特にこのジョンソンは、そもそもこの「紀元前607年から2520年」という年代計算の方法自体が、1800年代の初めごろに活動したイギリス人のジョン・アクティブ・ブラウンという人が考え出したものであり、その年代計算方法をそっくりそのままものみの塔協会が持ってきただけであるという点を指摘しており、フランズ氏自身もこの研究結果を読むまでその点には全く気づかなかったそうです。

さて、その後フランズ氏は1979年3月6日と11月14日の統治体会議の中で、この研究結果のコピーを統治体全員に渡し、同時に紀元前607年という年号には全く歴史的根拠がないことを指摘したそうです

ところが、その会議では、皆これについて話し合おうとはせず、2、3の例外を除いて、結局全員が1914年の教義は存続すべきだという意見を示したそうです。

執筆部門のリーダーであり、この調査報告内容を熟知していたライマン・スウィングルは、会議の終わりに『わかりました、皆さんそうなさりたいならそれでよろしいでしょう。でも少なくとも皆さん、1914年に関しては、再臨派から全部もらってるのはご存知ですよね。』と苦言を呈したそうです。*注1)

この手記の中でフランズ氏は、兄弟たちに向かって1914年に基づく予言を絶対信用しろという一方、協会責任者の方では自信がないと明言していることに強い不快感を覚えたことを述べています。

(さらにフランズ氏は、1975年2月19日の統治体会議において、当時のノア会長も『私の知っていることもある。エホバが神であること、キリスト・イエスが神の子であること、イエスは我々のためにその命を購いとしてくれたこと、復活があること。しかしまた、あまりよくわからないこともある。1914年、これはよくわからない。正しいかもしれないし、そうであってほしいとも思う。』と述べたことに言及しています。*注2)

また、1979年の統治体全体の会議に先立つ、執筆委員会の会議でも1914年の教義が取り上げられ、統治体の成員のカール・クラインが、「ある教義についてしばらくの間黙っておいて、それから変更を加えるとあまり目立たない」という、すでに何度も使われてきた方法を提案し、執筆委員全員によりその意見が支持されたことについても述べています*注2)

 
 
これらの事実は、エホバの証人の文字通り絶対的権威である『統治体』が、「聖書から1914年という年は導き出せない」という明確な事実を、その正確な根拠とともに熟知しており、かつ、その成員たちが個人レベルでも、この年号についての教義を全く確信していないという現実を示しているといえると思います。

にも関わらず、この組織は、「1914年についての年代計算が正しいから」という理由で、大学教育を忌避し、恋愛や結婚の機会・子供を生む機会を放棄し、財産を蓄える機会を放棄し、健全な人間関係・家族関係を遮断し、まさに全人生をこの宗教活動に捧げるようにと、世界中の信者に繰り返し繰り返し、しかも極めて強い口調で説得し続けているといえるのではないかと思います。しかも、今現在もそうし続けているといえるのではないかとも思います。

 
 
 
 
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この点、常識的に考えて、もし「エホバの証人組織」が、自らが主張するような「誠実かつ熱心な、神の是認を受けた聖書研究者たちの団体」などではなく、不誠実かつ卑怯な、人間の弱さにつけこんで成り立ってきた「単なる一新宗教」なのであれば、「聖書から1914年という年は導き出せない」という事実を認識した場合、当然にそれを信者から隠し、もうこれ以上はだまし続けられないという時点までなんとか隠し続けていけるとこまで行こうとするのではないかと思います。

なぜなら、すでに述べたように、1914年という年号の計算が正しいという前提に立つからこそ、この世の終わりが目の前に迫っているということになり、1914年という年号の計算が正しいという前提に立つからこそ、その年を言い当てたエホバの証人組織は唯一神の是認を受けた組織ということになり、1914年という年号の計算が正しいという前提に立つからこそ、来るべき滅びを生き残るためにはエホバの証人組織の言うことに全面的に従わなければならない、ということになるからです。

端的に言って、エホバの証人組織の全正当性・その存在、教えの正当性の根拠は、まさにこの年の計算の正しさに立脚しているからです。

裏を返すと、1914年という年号の計算が正しくなければ、およそ全てのエホバの証人の教え、近いうちにハルマゲドンが来る・バプテスマを受けなければそこで滅ぼされる・集会に行かなければならない・奉仕活動に参加しなければならない・輸血はしてはならない・結婚関係外の一切の性関係はしてはならない・一般市民社会(=この世)との接触は最大限避けなければならない・子供に過酷な体罰を加えなければならない・大学は危険で避けなければならない・蓄財は悪徳である、等々の教え全てが、正しいというその根拠を失うからです。

 
 
そして、現実の証拠は、少なくとも1979年には、エホバの証人の最高意思決定機関、絶対的権威とされるグループの全員が、まさしく「聖書から1914年という年は導き出せない」という事実を認識したにもかかわらず、その後、現時点に至るまで、27年以上にわたってそれを信者からなんとか隠し続けている状況にある、ということを示しているのではないかと思います。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
*注1
レイモンド・フランズ『良心の危機』(せせらぎ出版 2001年)281頁

 
*注2
レイモンド・フランズ『良心の危機』(せせらぎ出版 2001年)282頁