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2008年5月25日

悪霊と闘うーエホバの証人内部に見られる「悪霊信仰」の分析⑥

2.オオカミと恐怖

こうした西洋文化における恐怖の正体の分析というのは非常に啓発的であるため、もう少しだけこの視点での検討を続けてみたいと思います。

前述のとおり、ヨーロッパ大陸に横たわる「森」には、旅人を脅かす幾つかの現実的危険が存在したわけですが、ここで登場するのが「狼」の存在です。森の中に存在したいくつかの現実の危険・恐怖のうち、この「狼」というのはその際たるものであったようです。狼は最高時速70キロで走り、時速30キロ程度であれば一晩中獲物を追跡することができたため、一たびこの獣に狙われると旅人の末路は悲惨なものでした。また、狼は極めて特殊な本能を持つ動物で、狩りの際に対象とする複数の獲物のうち弱い固体を確実に見分けることができるそうです。つまり、人間でいうと女性、中でも少女と老婆が集中的に狙われる結果になるわけです。こうして生まれたのが「赤ずきんちゃん」の話です。この話の中では、赤ずきんのおばあさんは狼に食べられ、少女である赤ずきん自信も狡猾に騙された上で襲われるわけですが、こうした基本ストーリーは「なぜ女性ばかりを集中的に狙うのか」という狼に対する超自然的な恐怖感から自然に発生するとともに、特に女性は狼に注意しなければならないという教訓的目的を込めて意図的に作成されていったものでもあるわけです。

グリム童話をはじめとする中世ヨーロッパの童話は実は悲惨で不気味な内容が多いというのは有名な話ですが、それは、日常起こる悲惨な出来事をもとにそれらが作成されたと共に、そうした悲惨な事態に子供たちが近付かないよう、予防的観点から教育的意味も込めて製作されたからであり、オオカミにまつわる童話についても同じことが言えるわけです。

さて、この狼による被害は深刻で、中世のフランスにとっては、国家レベルでの現実の脅威にすら発展したこともありました。15世紀には狼の群れがパリにまで接近し、また、18世紀にフランスのジェボーダン地方に出現したある巨大なオオカミは1764年から1767年にかけて100人を超える被害者を食い殺し、「ジェボーダンの獣」としてフランス全土を震撼させ、国王が対応を迫られたこともありました(2001年にはこの史実が映画化)。
gevaudan-monster2.png
(ジェボーダンの獣①)

gevaudan_monster.jpg
(ジェボーダンの獣②)

こうした狼による深刻な被害は、直近ではなんと第一次世界大戦の時期にすら生じました。男たちが戦争のために村々から消え、老人と女性だけが残されたからです。

かくして、狼のもつこうした特殊な本能に対する人知を超えた恐怖感が「童話の中の狼」を生み出し、森に対する恐怖・その中に住みついた盗賊たちへの恐怖がこれに融合されて「人狼(狼男)」概念をも生み出すことになったわけです。なお、人狼については農作物や食料の保存方法が悪かった時代、ライ麦パンに繁殖した麦角菌(身体の麻痺・思考力の低下・幻覚・興奮等の作用がある)を摂取してしまい、その結果人格が豹変したり、凶暴な行動をとってしまった人や、同じような症状が発症後に起こる狂犬病に罹患した人が狼男扱いされてしまったという説もあるともされていますが、前述した森や狼への恐怖感がこれと結びついていることは間違いないと思われます。
germanwoodcut1722.jpg
(1722年に描かれた人狼)

「童話の中のオオカミ概念」や「人狼」といった化け物に対する神話的恐怖の正体は、結局のところ、こうした科学的に当然に説明のつく現象が生じたにすぎないにもかかわらず、その当時そうした事態に現に直面した人々がそれを十分に理解することができなかったために、自分の都合の良い形で、既存の理解にその現象を結びつけて、統一的な理解を一応行った結果もたらされたものであるわけです。人間にとっては「いったい何なのか理解できない」という混乱した状況こそが最大の恐怖であり、どんなに脆弱な考え・理論(心霊話や妖怪話、神話等)であっても、その場で納得できる説明を求めるわけです。

さて、ここまでごく簡単に、西洋人の恐怖の対象である「緑色」「森」「狼」といったものを具体例に、その恐怖の正体は何なのかという点を考えたわけですが、ここで我が国日本における恐怖の対象についてもその正体は何なのかという点を少しだけ考え、これとエホバの証人内部の「悪霊現象」を比較・考察してみたいと思います。

日本においての恐怖の具体例としては、妖怪たち、特に「鬼」「ろくろっ首」「天狗」といったものを代表例に考えてみたいと考えていますが、端的に結論から言うと、日本の妖怪の正体は、多くの場合「死体」です。