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JW.com » 悪霊と闘うーエホバの証人内部に見られる「悪霊信仰」の分析⑨

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「エホバの証人」についての情報サイト

2008年6月2日

悪霊と闘うーエホバの証人内部に見られる「悪霊信仰」の分析⑨

先回指摘した点、すなわち統合失調症の症状として①死ね・殺せといった幻聴があること②死神が襲いかかる等の、恐怖感を伴うハッキリとした幻覚があること③性的行為をされているという幻覚があること、などを考えた場合、エホバの証人の出版物がさも真実であるかのように述べる、①悪霊は人を自殺や殺人に追いやる、②悪霊を見た・感じたという目撃証人がいる、③悪霊は人々に性的虐待を加える、といった主張は、結局はこうした精神疾患からもたらされる症例をとりあげているに過ぎず、統合失調症に罹患した人の言う言葉を鵜呑みにしたもの、或いは、いいように利用したものに過ぎないと考えるのが通常の発想のように思えます。

ところで、ここで再度確認しておきたいのは、このサイトはおよそ悪霊を見たり感じたりする人の全てが統合失調症やそれに類する重度の精神疾患に罹患していると主張しているわけではないという点です。

コックリさんやポルターガイスト現象についての論考の際に述べた通り、普段何ら精神的に問題を抱えていない健全な人であっても、集団妄想なり個人的な強い暗示なりによって、自分が知覚したものを「悪霊現象」としてとらえたり確信することが有り得るわけです。要は、その本人が自分の脳内で「悪霊現象」なり「心霊現象」なりを感じ、これを外部の人間に確信を持って語りさえすれば、「悪霊現象」はできあがるわけです。その脳内での知覚をもたらすものが統合失調症であれば、それは典型的なケースなのでしょうが、こうした『脳内発想』をもたらすものは、統合失調症に限らず世の中に数多に存在するわけです。

こうしたもののもうひとつの例として「ドッペルゲンガー」について考えてみましょう。

○ドッペルゲンガー

1.ドッペルゲンガーの恐怖ー死をもたらす「もう一人の自分」

「ドッペルゲンガー」とは人が「自分そっくりの分身」を見るという不思議な現象です。エスカレーターを昇っていてふと顔をあげるとそこにもう一人の自分が立っているのを目撃したり、洗濯物を干していてふと横を見ると壁の向こうからもう一人の自分が自分をジーと見つめているのを目撃する、といったケースがこの現象の典型例でしょう。ドイツの伝説ではドッペルゲンガーを見た人は数日のうちに必ず死ぬといわれているそうですが、この種の伝説は世界中に存在するようです。ドイツの伝説のように、ドッペルゲンガーを見ることで死んでしまうという話もあれば、ドッペルゲンガーによって本人が殺されるという話も存在するようです。

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少し前の回で紹介した、精神科医風野春樹先生のサイト『私家族版・精神医学用語辞典』(http://homepage3.nifty.com/kazano/psy.html)には、このドッペルゲンガーの伝説について詳しく載っていますが、風野先生によると、中国や日本にも類似の伝承があるそうです。以下、『』内は前述のサイトからの引用文です。

『中国にも「離魂病」の伝承があり、「捜神後記」にはこんな話が載っている。外出した夫が、もう一人の自分がまだ床に寝ているという妻からの知らせを受け、帰ってみると確かに自分が寝ている。その姿をそろそろとさすっていると、だんだん朦朧となって、ついに消えてしまった。それ以来、夫はわけのわからない病気にかかって死んでしまった』

『日本の江戸時代の「奥州波奈志」という本には、奥州の実話として「影の病」という話が載っている。北勇治という男が、帰宅して自分の部屋の戸を開けると、机に向かっている男の後姿が見えた。着衣から髪の結い方まで自分そっくりなので怪しんで近づくと、相手は細く開いていた障子を抜けて縁先に走り出た。追いかけて障子を開いたときには、もう姿はなかった。家の者にそのことを語ると、母は何も言わずただ眉をひそめた。それから北は病に臥し、その年の内に亡くなった。実は、北家ではこれまで三代に渡り当主が己の姿を見て病を発し、亡くなっていたのである。北の母や長く勤める家来は皆これを知っていたがあまりに忌まわしいことのため誰も語らず、当代主人である北とその妻は一切知らなかった(以上の話は江戸川乱歩『幻影城』からとった)』

さらに風野先生は、藤縄昭「自己像幻視とドッペルゲンガー」(臨床精神医学76年12月号)という論文を引用して、典型的なドッペルゲンガーには、目の前数十センチないし数メートルのところあるいは側方にはっきりとした自己自身の像が見える・多くは動かないが、ときには歩行、身振りに合わせて動作する・全身像は少なく、顔や頭部、上半身などの部分像が多い・一般に黒や灰色、白などモノトーンであることが多い・平面的で立体感を欠き、薄いという場合もあれば、ときにはゼラチン様ないしガラス様に透明な姿で見えることもある・自己像は自己自身の姿とかならずしも似ておらず、表情が異なったり、衣服が異なったり、さらには若かったり甚だしく老けて見えたりすることもある、といった特徴があり、特に重要な特徴としてはどのような姿をとって現れてもその人物像が自己自身の像であると直感的に確信して疑わないという点を指摘しています。(ドッペルゲンガーの実例については、風野医師の紹介する実例を脚注に引用してあります。)

さて、このように「もう一人の自分自身の存在を現実に強く感じる」というこの症状のみを聞かされた場合、実に不思議な感じがするとともに、やはり強い恐怖感を覚えるのが通常ではないかと思われますが、この「ドッペルゲンガー」の正体は何なのでしょうか。

2.ドッペルゲンガーの正体

先に紹介したサイトの内容からは、どうやらドッペルゲンガーというのは、世界中に見られる現象であり(リンカーンや芥川龍之介も見たといわれているそうです)、かつ、「精神医学上の一症例」として扱われているらしいことがわかります。風野医師は精神医学の観点から、このドッペルゲンガーについて次のように述べています。

『このドッペルゲンガー、伝承とか小説の中の出来事と思われがちだが、実はこれ、精神医学界でも古くから話題になっている現象なのである。実際に、こういう症状を訴える患者が確かにいて、昔から多くの論文が書かれているのだ。もっとも、純粋に学術的な興味というより、いくぶんロマン主義的な関心(興味本位ともいう)であることは否定できないのだけれど(多重人格もついこの間まではそうだった)。最近では、精神科医の春日武彦さんが『顔面考』という本でドッペルゲンガーについて大きく取り上げていますね。』

例によって風野先生は、この症例の原因等については特に述べていないのですが、一説によれば、脳の側頭葉と頭頂葉の境界領域に脳腫瘍ができた患者がドッペルゲンガーを見るケースが多いと考えられているようです。脳のこの領域の機能が損なわれると、自己の肉体の認識上の感覚を失い、あたかも肉体とは別の「もう一人の自分」が存在するかのように錯覚することがあるとのことです。

たとえば、スイスのチューリッヒ大学でドッペルゲンガーを研究しているピーター・ブルッガー博士によると、スイスに住むある陶芸家の男性は、頻繁にドッペルゲンガーを目撃しており、ある朝も目覚めにドッペルゲンガーを目撃したそうですが、その直後に激しい頭痛に見舞われたそうです。診断の結果、この激しい頭痛の原因は脳腫瘍であることが判明し、手術で腫瘍部分を切除したところ、それと同時にドッペルゲンガーを見ることもなくなったそうです。さらに、カナダの神経外科医ワイルダー・グレイヴス・ペンフィールド(1891-1976 従来悪霊により引き起こされると考えられていたてんかんの治療に尽力したことで有名)は、正常な人でもこの脳の領域に刺激を与えると肉体とは別の「もう一人の自分」が存在するように感じられることを実験で証明したそうです。

また、ドイツのアーヘン大学病院医学部クラウス・ポドル博士によると、ドッペルゲンガーは脳腫瘍だけでなく、偏頭痛が発生する原因となる脳内の血流の変動による脳の機能の低下によっても引き起こされるとのことです。すなわち、偏頭痛が起きるときにはまず脳内の血流量が一時的に低下するという「前兆現象」が起こり、低下した血液を補うため一気に脳内に血流量が増え、これによって血管周囲の神経が圧迫されて激しい痛みが発生するそうです。この、脳内の血流量が一時的に減少するという偏頭痛の「前兆現象」が側頭葉と頭頂葉の境界領域で起きていれば、神経の伝達異常が生じ、ドッペルゲンガーの幻覚を見る可能性があるということだそうです。
(前述したリンカーンや芥川龍之介は偏頭痛持ちであったことが判明しており、この点を裏付けているものとも考えられます。)

このように、「ドッペルゲンガー」は科学的に十分納得の行く説明がつく現象であるわけですが、実際にこれを体験する本人は、少なくとも自分の「脳内」ではそれが現実であるために確信をこめてその経験を語りますし、その後に短期間のうちにその現象の経験者本人が死亡したりするため、周囲でこの現象について聞かされる人は極めて不可思議に感じるとともに非常に強い恐怖感を覚える事となるわけです。
ところが、こうした「ドッペルゲンガーを見ると死ぬ」「ドッペルゲンガーというもう一人の自分自身に殺される」という伝説も、結局は「脳に機能障害を患い、死期が近い人物が医学的な兆候としてドッペルゲンガーを見る」という客観的事実から発生したものであって、例によって「自らの無知ゆえに理解できない現象について、摩訶不思議な超常的説明やうわさ話を作り上げる」というパターンが踏襲されているだけとの解釈が可能であるわけです。

統合失調症にせよ、ドッペルゲンガーにせよ、とにかく共通しているのは客観的には全く事実が存在しないにもかかわらず、本人がその「脳内」において「現実である」と知覚するために確信を持ってその(存在しない)事実を経験談として語り、これを語られる側の周囲の人間が無知である場合や一定の方向に発想をコントロールされている場合にはさらに誤った確信に拍車がかかってゆく、という点ではないでしょうか。

3.すべての共通点ー「脳内発想」と「確信」

さて、ここまで集団妄想という一時的心理状態、統合失調症という精神疾患、ドッペルゲンガーという脳の物理的欠陥といういくつかの例だけを見ましたが、こうした例が教えてくれるのは、前述したような「脳内確信」というものは様々な原因で起こりうるとともに、時代・文化・人種等に関わりなく「およそ人」に普遍的に共通して見られる現象であるということではないでしょうか。

更なる別の例としては、たとえば既視感(デジャブ)についても、結局のところ「脳内で起こる現象」に過ぎず、人間の感覚から神経を通ってきた信号が何かのことで直接脳内に記憶として蓄えられ、脳が認識をした段階で既に記憶として存在するという事実を再認識する事によりおこる現象であるとも言われています。

こうした、「個人の脳内において、存在しない事実を事実として認識する」との現象を一々紹介していけば、実際のところきりがありません。

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多くの「悪霊現象」の正体は、これらの「脳内現象」に過ぎないでしょうし、そうした現象は様々な理由により、健康で健全な人たちにも十分に起こりうる現象であるわけです。

*ドッペルゲンガーの実例

『さてドッペルゲンガーの実例だけど、須江洋成らによる「多彩な自己像幻視を呈した非定型精神病(満田)の1症例」(臨床精神医学98年1月号)という文献には、まさにタイトル通り驚くほど多彩な例が報告されているので紹介しておこう。患者は26歳の女性。あるとき「就寝して間もなく壁際に黒い洋服を着ている人物が見えた」。「その人物はまるで影のようで、顔は見えなかったが、それは自分であるとすぐに確信した。自分を見つめているように思えた。夫に伝えようと視線をそらしたところ、その影は自分の視界に入ろうとするかのように移動した」という。これはごくオーソドックスなドッペルゲンガーといえる。18歳のとき最初に見たドッペルゲンガーは、「夜間に突然、向こうに歩いていく裸の人物が見え、『誰?』と声をかけて振り返った姿が自分であった」というものだったという。その後、「電車の中からホームを見ていて階段を降りていく自分が見えた」「ショーウィンドウに映る自分を見ながら髪を整えていたとき、隣で同じことをしている自分が映っており、何か話しかけてきたが間もなく消えた」「出前を取り、お金を払おうとしたところ、先に払おうとするかのように玄関に向かう自分の姿が見えた」など、さまざまなドッペルゲンガーを体験。 「歩いていたとき自転車に跨るようにして壁に寄りかかりながら自分を見ている幼い頃の自分が見えて、近寄ろうとしてつまづき顔を上げたときには消えていた」という年齢の違う自己を見た体験もある。さらに、隣の部屋から様子をうかがっているなど、近くにいるもうひとりの自分の気配を感じることもあるという。最後の二つの例からもわかるように、分身というのは、別に自分にそっくりだから分身であるというわけではないのだ。たとえ幼い姿であろうと、気配だけであろうと、それが自分であると「直感的に確信して疑わない」のである。最後の例などかなり怖いと思うのだが・・・。、さらに彼女はこのほかにも、極めて珍しい体験を報告している。幼い頃、衣服は異なるが薪を取りに行く母親と薪をくべている母親が同時に見えて、「どっちがお母さん?」と聞いてきた、という体験を鮮明に覚えているのだそうだ。 他人における二重身、とでもいうのだろうか。これは強烈な経験だったろうなあ。』ー風野春樹「私家族版・精神医学用語辞典」『ドッペルゲンガーDoppelgänger』(http://homepage3.nifty.com/kazano/dopel.html)