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2008年5月28日

悪霊と闘うーエホバの証人内部に見られる「悪霊信仰」の分析 ⑦

○日本古来からの恐怖ーその正体

1.赤鬼・青鬼

話は少し変わりますが、どせいさんはかなり前に「司法解剖」に立ち会うというちょっと変わった経験をしたことがありました。「司法解剖」というのは、犯罪被害に遭って亡くなった方のご遺体を解剖して死因を特定し、その亡くなった被害者ご本人の生前の権利やご遺族の権利を擁護する重要な過程なわけですが、その司法解剖に先立って「法医学」についてのかなり集中的な講義をその道の権威の教授から受ける機会があったんですね。

簡単にいうと、死亡推定時刻の計算の仕方や自殺と他殺の見分け方・死因や凶器の特定方法などを学び、その際に大量のご遺体の写真を次から次へと見せられるわけなのですが、法医学というのは「ご遺体」を研究対象とするものですので、特に「死後変化」について詳細に学ぶことになったわけです。

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さて、この「死後変化」の中には、「早期死体現象」と「晩期死体現象」という段階があり、これらの過程を経て、死体はミイラ化・死蝋化(水中に沈んだ死体が石鹸のようになり永久死体化すること)・白骨化という過程に至るということらしいです。このうち、「早期死体現象」には、死後硬直や死斑(人の死後、体内の血液が重力により滞留したり化学反応を起こすことによって体表に生じる独特の模様)の発生、体温低下・角膜の混濁といったものがあり、「晩期死体現象」には死体の自家融解や腐敗、といった現象があるとの事でした。

そしてこの「晩期死体現象」の中には、興味深いことに「赤鬼現象」「青鬼現象」と呼ばれる現象があるそうです。要するに、ご遺体の腐敗が進み内部にガスが発生するなどして顔や体が異様に膨張し、巨人様化する現象です。体内に残留するヘモグロビンがどのような変化をするかによって死体の色は変化しますが、ヘモグロビンは硫化して緑褐色になることもあり、そうして死体の体表が緑褐色になった場合が「青鬼現象」・そうでない場合が「赤鬼現象」とのことだそうです。

さて、実際にこうした赤鬼現象の生じているご遺体の写真を目にすると、本当に驚きます。身体全体が巨大化し、歯がむき出しになり、飛び出した目が爛々と輝いているように見え、まさしく「鬼」そのものの印象を与えるからです。鬼をはじめとする様々な「妖怪」の正体はいったい何だったのかという点については様々な研究がなされいくつかの説が存在するようではありますが、ひとつの有力な説として、こうした死体の変化をみて人々はこれを「鬼」ととらえ、その概念を発展させていったのではないか、と考えられているそうです。

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通常、このように晩期死体現象にまでは進んでいないきれいな形の死体に対面するだけでも、人はなぜか強い恐怖感を感じることがあります。それは恐らく、生き物としての人間にとって「人が本当に死んでいる」という状況がある種受け入れがたいものであり「人が人でなくなっている」ということに対する本能的恐怖感を感じるからではないかと思います。まして太古の時代、まだ人の移動距離や得られる情報量が圧倒的に小さかった時代、人の生涯のうちで他人の死を目の当たりにすること自体そう多く経験することではなかったと考えられる時代に、こうした「晩期死体現象」の生じている死体に出くわした人の恐怖感はどれほどのものであったか、想像に難くないのではないでしょうか。確かに「人」であるように思われる目の前の物体が理解を超えるような形で、しかし、現に目の前に確かな現実として存在することに対して、「鬼」という概念を用いて何とか対応し、あるいは、すでに「鬼」という概念を教えられていた場合には、そのすでに与えられたイメージに基づいて、統一的に物事を理解し、そしてその後に「鬼を見た」と確信を持って語られるようになった可能性があるわけです。

2.そのほかの妖怪

また、その「法医学」の講義においては「自殺死体」と「他殺死体」の見分け方が非常に重要であるとの教育もなされました。
日本においては首吊り自殺が自殺全体の半数を占めるそうですが、この首吊り件数の占める割合の飛躍的な高さは日本独特のもので、他人に迷惑が一切かからない形での自殺方法である首吊りが日本に多いのは、日本の美徳のひとつの現れとすら考えられているそうです。

さてこの首吊りですが、森の奥深くなどで首吊りがなされると、非常に長い間遺体が発見されないことがあります。そしてその間に、首の部分が通常ではちょっと想像できないレベルにまでのびてしまうことがあるそうです。実際に、長期間森の中で放置された死体の写真も講義で扱われたのですが、おぼろげな記憶ながら1メートル以上はありそうなほど首の部分が延びていたような印象を受けたことを覚えています。また、首吊りをする人は「最後の瞬間を人に見られたくない」との心理から顔を隠す傾向があるそうですが、そのご遺体も頭の部分にはすっぽりと四角い覆いがかぶさっており、そうした事情もあいまって、その写真を見たときに強烈な恐怖感に見舞われた覚えがあります。さらに、そのように長時間放置された首吊り死体は、発見より先に縄が切れることもあり、その場合には異様に首の伸びきった死体が地面に転がることとなり、さらにそこから腐敗が進み動物や昆虫による損傷も進むことになります。
そのような状態にいたった死体をたまたま旅人や通行人が発見することも当然に多々起こったことであり、そうした人はこれを「ろくろ首」ととらえたのではないか、と考えられるわけです。日本国外ではろくろ首という妖怪の概念があまり聞かれないのも、先ほど述べた「首吊りが日本の美徳」とされる情況が背景にあってのことかもしれません。こうした発見者の恐怖感は相当のものでしょうし、その「自らがこの目で見たもの」についてそれら発見者が人々にどのように語るかを想像することは、さほど難しくないのではないでしょうか。
葛飾北斎の描いたろくろ首
(北斎の描いたろくろ首)

ところで、これとは逆に日本では湿度が高く、死体が「ミイラ化」して発見されることはほとんどないそうです。どせいさんたちに講義をしてくれた教授は、数十年の学者生活の中で一度だけ、東北地方の寒村で冬場に自宅で自然死し、その後長期間発見されなかったために自然にミイラ化した遺体に出あったことがあったそうです。ただ、死体が本当にミイラとして半永久保存されるには体重が20キロを下回る必要があり、その死体は23キロであったため、その先生は自宅のマンションのベランダでさらに1週間日干しにする必要があったそうです。この発見された当時の半ミイラ化したご遺体の写真も拝見したのですが、人としての原型はとどめながら、かなり「干からびている」という印象があり、ちょうど吸血鬼に完全に血を吸い尽くされたかのような様相を呈していました。湿度が高くミイラ化した死体が発見されることのない日本では吸血鬼という概念がなく、他方で、湿度が低く土葬の習慣のあった東欧において吸血鬼伝説が生まれたのは、そうした点に由来するのかもしれないと強く思いました。

もちろん、すべての妖怪や幽霊の正体が「死体」であるわけではないでしょうし、これら「鬼」や「ろくろ首」の正体についても、他の有力な説が存在するはずです。しかし、このように普段あまり知ることのない、特定の分野についての専門的な知識を得ると、漠然として恐怖として扱われているものの正体がハッキリと見え、何らかの理解できない思える現象が存在したとしても、それは自らの無知ゆえであって、往々にして科学や確立された理論によって完全に説明がつくものである、という点が明確に理解できるようになるのではないかと思います。(ちなみに、筋肉質の青壮年者等が労作後,高温環境下などで急死するという条件がそろう場合、死後硬直は急速なスピードで生ずるそうです。弁慶が立ったまま死んだとされる「立ち往生」や、日清戦争のラッパ手木口小平の「シンデモ ラッパ ヲ クチカラ ハナシマセンデシタ」と謳われた情況は、この急速な死後硬直であった可能性が高いと考えられているそうです。)

こうした「死体」以外の要因として説明される妖怪の正体のひとつの例として、天狗が挙げられるかもしれません。、勝鹿北星・浦沢直樹著の漫画『マスターキートン』には、突然日本の村に現れて神社に住み着き、その後村人の信頼を得るようになり、やがて村の娘と恋に落ちるようになった天狗の伝承が登場します。この物語の中では、その天狗の正体は難船して日本に漂着した西洋人であることが描かれています。漫画ドラえもんにも、実は鬼が島の鬼の正体が漂着したオランダ人である、というシーンがありますが、赤い顔・鋭い眼光・高い鼻といった特徴からも、天狗の正体は西洋人である、と考えるのは有力な説であるようです。