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JW.com » 悪霊と闘うーエホバの証人内部に見られる「悪霊信仰」の分析⑧

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「エホバの証人」についての情報サイト

2008年5月29日

悪霊と闘うーエホバの証人内部に見られる「悪霊信仰」の分析⑧

○恐怖の正体が教えるもの

1.人間の本質

ここまで見てきた、様々な恐怖の実際の正体を考えたとき、どのような結論に至ることができるでしょうか。ひとつ確実にいえることは、人は「自らの知識や経験では理解できない恐怖という現実」に現に直面したとき、超自然的な人知を超えたものとしての「妖怪」や「お化け」という概念を用いて、何とか自分の理解に統一させてその情況に対応しようとする傾向があるということではないかと思います。また、もともと何らかの「妖怪」や「化け物」の概念を与えられていた場合にはなおさらで、ある一定の不自然と思える現象に直面した際にそうした「与えられた理解」に自分の発想を直結させて、物事を一方的に解釈する傾向もあるといえるかもしれません。

さて、こうした「自らの知識や経験では理解できない現実」が生じた際に、これを超自然的な現象として理解し、納得しようとする傾向は人間にとって本質的なものであり、はるか昔の人々のみならず、現代の人間にも十分生じうる現象であるようです。そうした出来事の現代における好例は「キャトル・ミューティレーション」でしょう。これは、1960年代前半から、おもにアメリカを中心として報告された「牛や馬などの大量の家畜がとつぜんいっせいに死ぬ」という事件です。しかも、その大量に「殺害された」家畜は眼や陰部などがえぐられ、とても人間業とは思えないレーザーを用いたかのようなシャープな切り口で体が「切り落とされ」、さらには遺体の周りおよび体内には一滴の血液も残されていない形で発見されたそうです。いったい誰が、何の目的で、いかなる手段を使って「惨殺した」のか、まったくの謎に包まれていたため、マスコミなどによって「宇宙人の仕業」「狂信的宗教団体の仕業」と騒がれたようです。
(この集団妄想は、10年以上も続いたとの事です。)

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結局、元FBI捜査官が1980年に1年にわたって行なった実験で、死亡した家畜を放置しておくと、血液は地面に吸い込まれて流れ去り、ハエや蛆などの虫や動物などに目や性器などのやわらかい部分から食べられ、野生動物(野犬やコヨーテ、鳥)の牙などによる鋭利な切り口を伴う捕食がなされると、「キャトル・ミューティレーション」と同じ状態になるとの報告がなされました。また、牛の死骸の損なわれた部分はすべて上部のみで、地面に接触していた部分は損傷していなかったことも判明し、「キャトル・ミューティレーション」とは「牛の死骸の通常の変化でしかない」との結論に至ったようです。そもそもの家畜の原因は病死や食中毒に過ぎなかったそうです。

このように、古代の人々のみならず、20世紀後半においてもこうした現象が生じたということは、自らが現在の知識では理解しがたい出来事に接したとき、いかに突拍子もない説明であったとしてもそれを受け入れて納得しようとする傾向が人間にとって本質的なものであることを示すととともに、人がいかにたやすく超自然的現象を信じ込んでしまうかを如実に示しているのではないでしょうか。

2.エホバの証人へのあてはめ

では本論に立ち返り、今まで見てきた「恐怖の正体」・「人間の心理の本質」という点について得られた考察を、エホバの証人にあてはめて考えてみたいと思います。冒頭の部分において、エホバの証人内部における悪霊現象の正体は、広い意味での精神疾患である場合がほとんどではないか、という考えを述べました。実際に、特定の種類の精神疾患がどのような症状をもたらすのか、そして、エホバの証人信者がそれを認識したとき、どのように反応しうるのかを少し考えて見ましょう。

たとえば「統合失調症」という病気は100人に一人の割合で発症する病気ですが、その典型的な症状は妄想・幻想・幻聴・幻覚であるそうです。以前あるニュース番組で、「統合失調症の人の知覚する世界」をコンピューターグラフィックで再現していたことがありましたが、なんでもない日常の風景、たとえば台所にあるりんごや、壁の上にかかった時計などが不気味に歪みだし、恐ろしい悪霊のような顔になって近づいてきたりするという、非常に恐ろしいシーンが繰り返し再現されていました。また、この病気にかかると、一晩中「死ね、死ね」「殺せ、殺せ」という声が聞こえたり、「死神」に追い掛け回されるという幻覚をはっきりと見ることもあるそうです。そのニュースでの説明によれば、この病気の特徴は「非常に強い恐怖心」を伴う病気であるとの事でした。さらに、「性的行為をされている」という『体感幻覚』という症状も見られるそうです。
(脚注部分に、この病気の症状について説明した「読売新聞」の記事を引用してあります。)

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では、エホバの証人から「悪霊」についての強いイメージと教育を与えられている人がこうした症状を抱えた場合、どのように判断する可能性があるでしょうか。すでに見てきたように、エホバの証人組織は「悪霊は精神的な苦しみを味わっているある人たちの難しい状態を一層ひどくして,それらの人々を責めさいなむことに喜びを感じる」(ものみの塔1988年10月15日号)・「悪霊は、ある人々に対しては,睡眠を妨害したり,恐ろしい夢を見させたりして,夜中にいやがらせをします。性的に虐待する場合もあります。発狂や殺人や自殺にまで人々を追いつめることもあります。」(死者の霊)・「悪霊は私が眠ろうとする時に限って私を煩わせました。うつらうつらしかけると,その声が私を起こし,墓場や死について話しかけてきました。」(ものみの塔1987年9月1日)といった内容のことを、明確に繰り返し述べています。また、エホバの証人信者には「世の知恵」と称して精神疾患等については専門家の意見に耳を傾けない傾向や、あるいはそうした専門家の助言を避けるよう他の人に勧める傾向もあります。

このような明確なイメージを強く刷り込まれ、精神医療について懐疑的な態度を示す状況にあっては、エホバの証人たちはこれらの科学的な症状を、まさに「悪霊の攻撃」と解釈するのではないでしょうか。

しかも、統合失調症の発症率が日本国内でも1%程度とかなり高いことを考えると、もしエホバの証人のひとつの会衆が100人前後の関係者を擁するとすれば、エホバの証人の各会衆すべてに、確実に一人はこうした症状を抱える人がいるという計算になります。驚くほど閉鎖的な発想をする、聡明とはいえない長老や長老たち・古株奉仕者たちに事実上支配されている田舎の会衆などが多い実情を考えると、こうした症例が見られた場合に安易に「悪霊の攻撃」と判断されるケースは、実は通常の予想をはるかに上回る比率で起きている可能性があるのではないでしょうか。

また、エホバの証人は全世界に存在し、特に発展途上国で増加を続けていますが、そもそもこうした精神疾患についての理解が皆無に近く、専門的医療を受けられないばかりか悪霊に対する土着信仰に極めて強く影響されている地域もあります。また、『飢餓』は統合失調症発症の危険因子の代表例とされていますから、十分な食べ物の供給されない貧しい国々では「100人に1人」という日本の発症率を大きく上回る率で、これらの症例が発生していると考えられます。こうした国々でこれらの症例が見られた場合(そして、現に頻回に見られるわけですが)、果たしてエホバの証人関係者たちはこれをどのように考えるでしょうか。

「現に悪霊を見た!」と確信を持って語られるであろうことは、容易に想像がつくように思われます。

*統合失調症の症状

○統合失調症(上)死に神に追われる毎日

「あの患者さん、かわいいわね」「どこがかわいいねん。ブスよ、ブス」。深夜、ナースステーションから、看護師のひそひそ話が聞こえた。病室からは遠く離れ、声が届くはずはなかったが、大阪府の森実恵さん(49)は「私のことをうわさしている」と勘ぐった。16年前、大腸炎で入院した時のことだ。続いて、男性の声がした。「やっと会えたね。二人は赤い糸で結ばれていたんだよ」。大腸の内視鏡検査の時に、やさしい言葉をかけてくれた若い内科医の声だった。以来、森さんは好意を抱いていた。「先生が私にテレパシーを送ってきてくれた」。「テレパシーによる会話」は夜通し続いた。それが、後に命を脅かすことになる幻聴の始まりだった。森さんはそれまで、学習塾の講師などを務め、結婚後は主婦業に専念して2人の子供を産んだ。入院時に、下の子は9か月だった。子育てに追われる中、身内の葬儀などで疲労がたまり、下血した。そして気づかぬうちに、心を病んだ。退院後も、内科医との「会話」は続いた。うれしさをこらえ切れず、夫に打ち明けた。「私、超能力者になったの。テレパシーで先生と会話できるのよ」夫は冷静だった。「それが本当なら、テレパシーで約束して会えるはずだ」やってみた。近所の公園、駅……。待ちぼうけに終わった。「何かおかしい」。森さんは外来の時、内科医に打ち明けた。「私、先生の声が聞こえるんです」「それはうれしいですが、心療内科を受診してみてください」心療内科は、ストレスで引き起こされる身体症状などを中心に診る。幻聴の体験などを話すと、医師は告げた。「精神分裂病(現在の統合失調症)ですね」
約100人に1人がかかる病気だ。20歳前後に発症することが多いが、発症原因は解明されていない。その時、診察室に大きな白いもやが現れ、医師の脇をすり抜けて迫ってきた。もやの一部が大きな鎌(かま)に変わる。「死に神だ!」。診察室を飛び出し、電車に飛び乗った。だが、死に神も乗ってくる。次の駅で降りると、死に神も降りる。走っても走っても、追ってくる。疲れきって帰宅しても、死に神は横にいた。 処方された抗精神病薬は「毒が入っている」と疑い、あまり飲まなかった。間もなく「死ね、死ね」という男の声が四六時中、頭の中で響くようになった。「部屋中の壁から血がしたたり、生首や手首が転がっている」幻視も起こった。死に神が鎌を持ち、迫ってくる。子供を母に預けて家を飛び出し、近所を逃げ回る毎日が続いた。
(2008年1月9日 読売新聞)

○統合失調症(下)克服しても続く偏見

統合失調症の発症から1年がたった34歳の時、大阪府の森実恵さん(49)は、大学病院の精神科病棟に入院した。他人から責められる声が頭の中で響く幻聴や、死に神に追いかけられる幻視が強まり、耐えられなくなったのだ。その病棟は自由に出入りできず、自殺を防ぐため、病室には花瓶も置けなかった。一日1度、体操のため屋上に出た。青空が目に鮮烈で、花壇の花々が心に染みた。殺風景な病室で乾ききった心が、自然の力に癒やされるのを感じた。幻聴を抑える薬も見つかり、3か月目に退院できた。
ところが翌年、症状が再び悪化した。頭の中で「死ね、死ね」の連呼がやまない。見ず知らずの男女の声に、家族や知人、主治医の声も加わった。さらに別の幻聴は、不用意な発言で友人を傷つけたことなど、森さんが悔やむ過去の記憶を次々と暴き出し、「だからお前はこんな病気になるんだ。死んで当然だ」と迫った。「脳内の自分いじめ」がピークに達した夜、森さんは「死んだほうが楽」と衝動にかられ、自宅近くで、がけから身を投げた。途中の岩場で体が止まった。軽傷で済んだとわかり、今度は自分で頭を岩に打ちつけ、家を飛び出す前にポケットに入れた爪(つめ)切りで腕や眉間(みけん)を切りつけた。痛みは全く感じなかった。精根尽き果てたころ、夜が明けた。われに返り、ぼろぼろの体で家に戻った。以来、幻聴の勢いは衰えた。夫とは、この病気が原因で離婚したが、下の子供を引き取ることになった。幼稚園や小学校に通わせ、生活費を稼ぐため学習塾の講師として再び働き始めた。「無理にでも普通の生活をしたことが、良いリハビリになりました」森さんは現在、睡眠を促す薬だけを飲んでいる。幻聴は多少あるが、言葉にならない雑音ですぐ消える。
「統合失調症は回復する病気です」。病気の実態を伝えたくて、「森実恵」のペンネームで本を3冊書いた。「統合失調症の患者を危険視する人は今も多いですが、明らかな間違い。計画的で悪質な犯罪は、心の病で疲れ切った人には、とてもできません」患者の電話相談に応じる。寄せられる悩みの多くが、就職の厳しさだ。統合失調症は、病歴を公表する人がほとんどなく、治る人が多い現実が知られていない。森さんは「自分をさらけ出して伝えなければ」と思う。だが、「まだ学生の子供に迷惑はかけられない」。病気のことを打ち明けたら、学習塾の講師を続けられなくなるかもしれない。「統合失調症で最も怖いのは、社会の偏見という二次的被害なんです」病を克服してもなお、森さんの闘いは続く。
(2008年1月10日 読売新聞)

(この記事で経験を述べた森さんは、他の読売新聞の連載記事の中でも、自分の経験した症状について「幻視(鎌(かま)を持った死に神が追いかけてくる)、体感幻覚(男性がいないのに愛撫(あいぶ)されている感じ)、幻臭(甘い物のにおい、ドブ川のにおい)、幻味(血の味、ゲジゲジの味)……。すべての感覚が病に侵され、私は一人、シュールレアリズムの世界に漂っていました。一分間に三十回、一日四万三千二百回、一か月で百万回以上も「死ね」と言われ・・・ました」と述べています。詳しくは「統合失調症とともに」http://sound.jp/kuuon/Baobab/S.molimie.html をご覧ください)