2006年8月13日
エホバの証人問題を整理する-16
ウ.宗教と脅迫罪
では次に、ものみの塔がその信者に対し、「この宗教から離れるなら、近い将来確実に来るハルマゲドンで滅ぼされることになる」と、繰り返し警告することは、刑法の脅迫罪に該当するのでしょうか。
脅迫罪というのは、刑法222条に規定されていて、
相手方またはその親族の「生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して」、人を脅迫すること
により成立するとされています。
したがって、例えば,先祖の因縁・たたりなどによる、病気や健康の不安等を極度にあおって精神的混乱をもたらすような場合には、それが宗教活動の一環としてなされた場合でも、脅迫罪が成立しうるようです。
もっとも、本来、宗教というものは、超自然的な事象を信ずるところにこそ、その本質が存在するのであって、現実社会においてであれ、死後の世界においてであれ、将来における何らかの超自然的な害悪の存在、そしてそれを回避するための現在の「宗教への帰依」を説くことは、これまたその本質であり、こうした活動そのものが、本来的に『信教の自由』(憲法20条)により保障されているともいえるのではないかと思います。
そう考えると、結局のところ、社会的相当性を逸脱する、常軌を逸する極度の宗教的脅迫のみが、この罪に該当するということになるのではないかと思います。
実際、宗教的な説法等に脅迫罪が成立したというハナシは、あまり聞いたことがないような気がします。